昭和57年 福武書店
おすすめの一冊です。発売当初は詳細な地図がハイキング用に便利で購入した覚えがありますが今も大いに活用させてもらっている小生の宝物的存在の一冊です。著者の扇野聖史(おうぎのせいし)さんは1933年 船橋市生まれ1958年 大阪大学法学部卒。在学中より犬養孝博士に師事。銀行マンとして勤めながら並行して万葉地理研究を中心にライフワークとして万葉集の素晴らしさを発信された方です。余談ですが万葉集に現代風のメロディをつけて歌う万葉歌は扇野さんが万葉歌をウクレレの伴奏で歌っておられたことが始まり。この万葉の道は全4巻あり奈良県内の古道を詳細に紹介されています。犬養孝さんはこの本の監修にあたり、「本書の最大の特色は、”道”にもとづいてつくられた前代未聞の詳細な地図にある。市販の五万分の1の地図は誠に詳しいが、万葉故地をたずね、明らかにするには煩わしい点も無くはない。本書の地図は著者自身が何度も歩きに歩いて、総計のべ七百余名の援助のもとに作成したものである。ごく微細な部分を拡大して、発掘現場や遺跡の位置はもちろん、コース案内、展望の場所、案内板のありか、タバコ屋や茶店、曲がり角の家の名、さらに駐車場やトイレまでも記入されている。歩きやすい説明もほどこされている。このような地図がまたとあるだろうか、これが大和の故地の全部にわたって行われているのが本書である。地図を見ているだけで、それぞれの土地は、あざやかな立体感をもって、よみがえってくるのだ。歳月がたって古くなっても、それはそのまま1980年代を語る、またとない貴重な資料でもあるのだ。・・」以下略 と書かれています。地図ばかりではなく、わかりやすい本文の解説も、ありきたりのものではなく、土地の古老に聞いた話し等も加え万葉集に対しての知識とか関係なしでも楽しめる本だと思います。お気に入りの本なのでついつい前置きが長くなりましたが忍阪については約20ページわたり地元民も知らない情報も含め的確かつ詳細に紹介いただいており、この本を見るだけでも忍阪の歴史や風土が伝わってきます。
「万葉の道」は全4巻で今も古本で購入は可能だと思います。是非手にとって御覧ください。