隠国の泊瀬の山 青幡の・・(作者不詳)

万葉集 巻13-3331 作者不詳

 

【原文】

隠来之 長谷之山 青幡之

忍坂山者 走出之 宜山之

出立之 妙山叙 惜山之

荒巻惜毛

 

【読み下し文】  

こもりくの 泊瀬の山 青幡の

忍坂の山は 走り出の

宜しき山の 出で立ちの くわしき山ぞ

新しき山の 荒れまく惜しも

【揮毫者】

有馬生馬(洋画家)

 

【歌の意味】

泊瀬の山、忍坂の山は、家から一走り出たところにある(見える)美しい優れた山である。この立派な山を保ちたいのだが、年ごとに荒れていくのは、本当に惜しいことである。

 

(出典)桜井市観光協会 「記紀万葉歌碑」より  

この歌碑は泊瀬川(長谷川)に架かる大向寺橋という橋の袂になんと忍坂山ではなく三輪山を背に建っています。「なんでやねん!」と言いたいのですが・・このあたりから見る忍坂山(外鎌山)の眺望は、この歌のとおり素晴らしい眺めなんですが・・・1300年前(多分古墳の造成で破壊されたのでは?)現在は、その古墳を潰して住宅地となっています。角度によっては痛々しくさえ思えてきます。人間のやることは1300年前も今も一緒なんですね。ところで忍坂にも、この歌碑のミニチュア版の歌碑が生根神社に建てられてますが個人の叙勲の記念で建てられたようで・・・下の写真がその歌碑です。